独立しようとしている方や経営者の方々から時間管理についてご相談を受けることが多々あります。私は、既に出来ている方ともお話しする機会も多いので、何が違うのかを述べてみます。
私も元々ルーズですので、出来ている方からお聞きしたことを改善しながらやって早10年たちました。随分できるように(と思う)なりましたよ。私がどうやっているのかをご紹介します。
時間を意識して有効につかう
世界中のどんな人でも共通のものがあります。それは時間です。
地位や名声、人種や文化など問わず24時間と決まっています。誰でも”知っている”ことですが、”分かっている”訳ではありません。
知っていると、分かっているの違いは、意識しているかどうかだと思っています。意識しなければ、どんどん時間は過ぎていきます。
意識すると、行動が変わり、やることがどんどん出来ていきます。やろうとしていることが出来ていくので、充実感がとても出ます。
意識している、していないは、2つのタイプにわかれているように感じます。この方々とお話しすると概ねこのように感じます。
次にお話しした時に変化が多いので、わくわくします。
自分以外の誰かが登場ししてきて、お話しされるので表情がいきいきされています。とても楽しそうですし、笑顔がステキです。人としての魅力の高い方が多いなぁ。と感じます。次もお会いしたいです。
次にお話しした時も変化が乏しく、わくわくしません。
具体的な固有名詞がなく、自分しか登場しません。あれやりたい、これやりたい、という希望はあるのですが、どうやって、そのために何をするのか行動に至っていない方が多いです。何か楽しそうではありますが、よく分かりません。次にお会いすることはありません。
やる事が明確という意味では、子育てされているお母さん方は、時間管理が出来ていました。
お子さんは成長していきます。毎日の食事や掃除や送り迎えなどルーティンをこなしながら、突発的に発生する、数々の問題をどんどん解決されていきます。大きくトラブルになる前に未然に防いでいらっしゃるなぁと思います。
私も経理や労務、事務などでパートの方々とお仕事させていただきましたが、小さいお子さんの場合、保育園の時間があり、時間がすぎると料金が超過請求されるので、制限時間の中で作業をこなされていました。基本的に作業は早かったです。間違いがあったとしても、どんどん消化するので、間違い箇所の修正も早いですし、よく間違えるところも情報がどんどん溜まるので、小さな改善策を毎日行い、年や月、週、日で解決すべきことの優先順位がつけやすかったです。
配偶者の扶養控除に入っている方も多かったので、年度末までの給料計算から逆算して、控除内になるように、また事務の繁忙期にたくさんの方が一斉に休みを取る事がないようにスケジュール調整もできました。皆さん自分のことですので、お金のこと含めて具体的でしたし、お家の都合での離職はありましたが、それ以外ではほとんどなく、長く勤めていただけました。ありがたいことです。
行動する方としない方の違い
行動する方としない方の違いをみていきます。
私も元々時間を意識していなかったので、後者に近かったです。唯一お金の感覚は普通でした。誰からも言われたことがありませんので。(親戚一同、商売一家だったことが大きい要因だろうなと思います。)
以前の私は、365日毎日働いていました。睡眠時間は4時間です。奥さんとスノーボードにいったり、友達と飲みにいったり、映画にいったりしていたので、自分としては出来ているつもりでした。でも、いつも仕事のことは頭にあるので、表情がありませんでした。写真をみると、笑っている顔が一枚もありませんでした。
事業計画立案と実行、実行する為の資金調達、人員採用・配置、営業、開発なんでもやっていました。今から思うとそりゃ時間ないわ。と思います。忙しいというのは嫌だったので、言葉で発したことはありませんでしたが、心の中ではいつも思っていました。言葉にしたくなかった理由は、簡単にできましたよ。と見せたかったのでしょう。虚栄心の塊でしたね。ツマラナイ理由です。
そんな私は、今はこうなりました。
365日働いていません。週2回の休み(ブログや週次時間分析などのルーティンはこなします。これ休むと逆にバランスが崩れてしまいます。)と睡眠時間が6~7時間(この時間が私にとってもっとも調子がいいです。)になりました。やることに優先順位がついているので、仕事のことが頭から消えました。写真に笑っている表情が増えました。 まだまだ固いですが。
今の忙しさから抜け出す。早くて3か月、ゆっくりで3年かける。
始めようとした時に、時間を割くべきくことがあります。現在進行形でいろいろな物事が動いていると思います。いきなり止める方法もありますが、得てして不具合が出てくるので、お勧めできません。時間をかけて移行した方が、ムリなくできます。ではその手順はなんなのか、行動する方の共通点から私が実際にやった手順を上げていきます。
家族や同じ志をもった友人に相談する
理解してくれている家族や同じ志をもった友人や先輩に相談しましょう。
理解を深めるほど家族と話できていなかったり、周りの友人や先輩も自分と同じような方しかいない場合は、年単位での関係づくりが必要です。成熟させるために、1~3年くらいをかけてゆっくり時間を割きます。
既に周りに1人でもいるようでしたら、ラッキーです。メンターがいることは、良い助言がもらえます。自分の脳みそだけでは、凝り固まっていますので、他人の脳みそを使います。よく聞いて、それをまとめましょう。1か月くらいでできます。
5~10分ほど、少しずつ話することがコツです。固い話にせずにあくまでもやんわりと、思っていること、相談したいことを明確に意識しましょう。今後も何かと使うことになります。その人の背景に則った話が出てきますので、”なるほどねぇ。”と思うことが多々あります。
2~3年後の自分はどうなりたいかを書き出す
相談できる方とコミュニケーションを取りながら、同時に進めることがあります。
現状把握とそこからの少し未来を書いてみます。
今、やっていることを書き出し、それを2~3年後は、どうなっているのかを書き出します。概ね変化がないことがわかると思います。私の場合は、やっている仕事を書き出して、かけた時間とお金が増えるかどうかを書き出しました。こんな感じです。
- 今現在現在の状況
- やっている仕事 = ソフトウェアの受託開発
- かけた時間 = 19年
- 稼いでいるお金 = 3億円
- 3年後少し未来の状況
- やっている仕事 = ソフトウェアの受託開発
- かける時間 = 22年~
- 稼いでいるお金 = 3億円+α
全然変化なし。。。
かけた時間が増えているだけで何も変化していません。
お金の部分だけで、”売上高100億円目指そう”とか”上場しよう”などは、考えてもいませんでした。 小さい規模でしたが、ものづくりが好きなので、それを突き詰めていくと、売上は数億にはなりました。これは、やっていることの規模感からすると、このぐらいになる。というだけのもので、選んだ仕事では難しいことではありませんでした。
成長スピードは速かったので、金融機関など第3者からは評価されましたが、初年度から3年目ぐらいでこの規模にはなっていました。そこからはずっと3億くらいで停滞です。経営計画を立てますが、10億、20億と書いても、やる事はライン数を増やすか、何か利益率の高い自社サービスを立ち上げるかのどちらかでしたが、どちらもピンときません。
技術進化が早いので、いつも新しいものを作っていました。が、”ものづくりが好き”という漠然とした思いだけでは限界かな。作るのは好きだけど、何をやりたいのかをきちんと考えよう。という思いが出てきました。2、3年かけて会社の売却を含めた出口を考え始め、いろいろな方とお話しし始めたのもこの頃です。
開発では、エンジニアなど技術職の方々が周りに多くいましたので、開発ゴールに向けての方法や手順は良く見ていました。が、出口を考え始めたときは、別の職種や考えの方々とお話ししました。全然違う視点が欲しかったらからです。物事を俯瞰でみるので、この時にまた違った、お金の考え方に触れました。
出資して子会社化したい。という話が多かったです。良い話ではあるのですが、不要なコスト削減は必須です。開発職でしたので、コストは人員がほとんどです。ようするに、クビきりです。頭では理解しているつもりでしたが、気持ちはブレブレになりました。一緒にやってきた人の顔が出てきたからです。今はわかりますが、問題だったのは、今やっている仕事が中途半端だったわけです。今の仕事ができる人員が揃っていましたが、出資者は、成長を望むので、小規模でも品質の高いものを作ることを目指すのか、それとも工場のようにどんどん拡大するのか、はたまた自社商品を作り出していくのか。いずれにしても今の仕事を変える。ことが必要ということだとわかりました。
先に私が話した、ピンとこない。が結局ネックだったわけです。
最終的には、候補2社の担当役員面接やデューデリジェンス(※売却や買収時に行うことが多い、会社の価値をきちんと見ること)を行い、各種帳票には落ち込んでいきますが、そこに落とし込むまでの過程が、全く違うようにみえたものです。(この会社は、こういう流れの中、また別の事柄により進行を一旦止め、別の方向性を決めなくてはならないことになります。)
この時に経験したことで、ピンとこない事は、流れる時間が変わらない。まずは、ピンとくることを模索しなければならないと痛感しました。
そう考えた私は、元の仕事を止めることにしました。
3年かかりました。それは、今までの市場にいるプレイヤーであるお客さんや従業員ばかりなので、入ってくる情報がそれしかなかったからです。やったことは、”止めたんですよ”と言いまくって、この仕事をお断りして、売上が0になるまでにかかった時間です。他に繋ぐためのお金がなかったため、結構ビビリながら進めました。
で、今こんな感じになりました。
- 今現在現在の状況
- やっている仕事 = ソフトウェアの受託開発
- かけた時間 = 22年
- 稼いでいるお金 = 8,000万円
- 1~2年後少し未来の状況
- やっている仕事 = コンサルティング+受託開発
- かけた時間 = 1~2年
- 稼いでいるお金 = 1,000万円
- 3~5年後替える未来の状況
- やっている仕事 = 書くこと、視ること、話すこと
- かける時間 = 永久
- 稼いでいるお金 = 3,000万円
激変です!
今、「少し未来の状況」のステージです。
稼いでいるお金は激減しました。しかしコストも激減しているので、特に問題はありません。まずは、今までの知見を活かし、売上1億未満の会社の経営コンサルと今までと違う市場の開発受託を行いました。時間の確保が出来てきているので、やっている仕事をもっと自分に合うようチューニングしていくことが出来ています。結果的に安定的に稼げる方向になったと思います。以前の私だとここまで売りあげを落とすという考えはありませんでした。
まずは、自分がどうなりたいのかをこのくらいの軸で良いので書き出してください。
今700万稼いでいるが、3年後は、1億円稼いでいる。でもよいですが、実現する為に何をしなければならないのかを出しましょう。相続でマンションが手に入るとかだと現実味はありますよ。
今の時間の使い方を計る
動いている方は、未来の予定はその場で決めます。お客さんとの打ち合わせ日程や、家族との旅行など、一度決めたら実行されます。変更する方が無駄な時間になることを理解されています。極力変更しないようにされています。これは、普段から時間を管理していないとできません。みなさん年、3か月、月、週、日でスケジューリングの確認サイクルをお持ちです。ご自身がどういう時間を使っているのかが明白です。
ツールは、手帳でもデジタルでも自分の合うものでよいと思います。
私は、20年近く愛用していた、フランクリンプランナーとモレスキンの手帳を止めました。どちらも優秀な手帳でしたが、書くこと、視ること、話すことにやる仕事を変えるうえで、デジタル化した方が数が熟せると判断したからです。
下準備は以下のようなルールを決めました。
- 1年を会社の決算期でみるのを止め、1~12月でみる
- 休みの日を1年分記載する
- 週は、日曜始まりにする
- 移動年計にして、月ごとの売上の変動を気にしない
- 月に1回年度計画を見て、今の状況を書き込む
- 利益、コスト、売上を3か月の四半期毎で予定通りかどうかを確認する
これはあと2年くらいかかるな、これはやめようかなと書いていきます。売上変動はするので、気にしない事にします。
- 半年、年単位でみる
- 月では実行する為の行動をやったか、やっていないか、だけみる
やったものは、結果が良くも悪くもでるので、判断できますが、やっていないものは、判断のしようがないので、なぜ出来ていないのかを掘り下げていきます。たいていの場合、取り掛かろうとしている物事をよく理解できておらず、自分に情報がないことがわかります。この場合は、その情報をもっている方に話を聞くというタスクになります。固有名詞が入るかどうかでみています。
下準備ができたら、以下で運用していきます。
- 月末に翌月で使える時間がどのくらいあるのかを出す
- 週初めに翌週で使える時間がどのくらいあるのかを出す
- 週初めに日~土までの各タスクを配置する
- 毎朝、当日のタスクに割り振った時間が適正かをみる
お昼ご飯までにこれとこれなどと決めて粛々と進めます。すべてに時間配分しており、デジタルで記録した時間をご飯のタイミングに合わせて転記しています。これは、意識する為に合えて効率化していません。
今はこうしていますが、実は、ここまでにもってくるのに、1年間かかりました。あれやこれや試行錯誤すると、その位という意味です。
計測するツールは、ストップウォッチ的なもので、長時間の計測ができ、1アクションだけの簡単操作のツールがないかを探しました。行き着いたのがtoggl(有料にすると、チームでの管理もできますが、自分1人でしたら、無料で利用可能です。)というサービスでした。今も利用しています。
time trackerと記載がありますが、これの設定を自分に合うように工夫して使用しています。スマホ用のアプリもありますので、睡眠時間も含め全部を計りました。
レポート機能があるので、どんど溜めておいて、実績値をみることができます。使用して3か月目には無駄になっているものがハッキリしてきました。
移動や事務処理、打ち合わせなどです。
優先順位をつけて時間管理することで、自己実現できる。
ダラダラしている訳ではないと思っていましたが、ここを削るだけで、やらなくてはならない事の時間が捻出できそうだ。と思いました。早速、変更をかけていきます。
移動は、その間に本を読むようにしていましたが、これを紙を止めて電子書籍に変更しKindleアプリ(iOS版)をiPad mini(第5世代)でみるようにしました。カバンからの出し入れや集中の仕方を変えました。
事務処理は、記録をMFクラウド会計を導入し、自動処理化しました。請求書や給与も連携できるようにし、国への申請・納付は、マイナンバーが電子証明として使用可能になりましたので、e-tax、eLTAX、e-Govに集約しました。これで、2度手間や窓口に出向く事がなくなりました。
打ち合わせは、議事録を商談中にホワイトボードやノートの記載分をスマホのカメラで撮影して商談後1時間以内に送っていたのを止め、iPad mini(第5世代)で手書きで書きながら整理し、チャットワークやslackでpdf化して情報共有し商談終了と同時に完了としました。情報共有の整理とスピードを変えました。
如何でしょうか?
時間を0にしたわけではありません。作業の方法を変えたのです。
- 移動時間を0にするためには、出向くのではなく、来ていただく
- 事務処理を0にするためには、人を雇う
- 商談を0にするためには、パッケージ化したものを販売する
などでは決してありません。これらは、すぐに効果が上がるものではありません。もちろん、そうなる様にしていかなければなりませんが、これらはシステム化していかなければ、ならないため時間がかかります。
そうです。そうなる様にするために充てなければならない時間は、このシステム化するための時間です。本来やらなくてはならない事は、すぐに成果が上がらない、こういうことを言います。
優先順位をつけるのは、これが最優先ですが、ここにたどり着くまでの手順があると思います。時間を有効に使われている方は、これがきちんとできていました。おさらいすると。。
- 現在の作業時間を全部計る
- 何に時間を割いているのか上位3つくらいを出す
- その時間をやらなくてはならない事に充てる
今の作業を増やすのではありません。ビジネス拡大システムや商品開発システム、マーケティングシステムなど今の作業ではない考えることに時間を割きます。少なくても良いです。初めて考える時間が捻出できたので、何をやれば良いのかわからないのが普通です。私の最初のタスクは、ビジネス拡大システムを考えるでした。こういうので良いです。足りない知識や経験がハッキリすれば、その情報がどこにあるのかを探す、という次のタスクが出てきます。この繰り返しをどんどん回すことが大事です。
このサイクルを手に入れるとみるみる実現力が上がっていきます。
今の作業ではない本来の優先順位をつけられるようになると、自己実現できるようになります。別に仕事に充てる必要はありません。家族との時間を一番に考えるなら、子供と会話する。家族と旅行に行く。でも同じです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。