※この記事は、インタビュー記事を書いている人向けです。
インタビュー記事は面白いと思っているコバヤシ(@BizHack1)です。
前回は、インタビュー記事のはじめ方。目的、ゲスト、場所をきめる【準備編】で準備について解説しました。今回は【作成編】としてインタビュー記事の書き方について深掘りします。
インタビュー記事の形式を選ぶ
インタビュー記事は3つの形式があります。
取材前にどの形式にするのか決めておくと良いでしょう。
①会話形式
質問と回答が交互に出てくる形式で「です・ます」調が基本になります。
特徴は読者にとって「取材中に近くわかりやすい」「知りたい情報にたどり着きやすい」、書き手の「構成が難しい」「文章量に対し情報量が少ない」などです。例えば、専門用語などは補足として簡潔に入れ込むと良いでしょう。
あえて「手直しを(なるだけ)しない」構成もありますが、多様するのは控えましょう。特徴は読者にとって「会話の雰囲気がもっとでる」「テンポがもっとよい」「記事が長くなりする」、書き手の「構成がより難しい」などです。
この構成で作成した記事は、投資家との出会いは、どうやるの?【個人投資家ミタさんに聞いてみた】で、国語として正しい表現をせず「話し言葉」にしています。
なぜなら、テーマが「投資家と出会うには」という、難しそうな内容を、理解できるようにしたかったからです。
読者さんから、問い合わせがいくつも頂けましたし、1年以上もコンスタントに読まれることになりましたが、やはり冗長ではあるので「変化が欲しいとき」で良いでしょう。
②一人称形式
ゲスト(相手)が一人語りしている形式で「です・ます」調が基本になります。
特徴は「コラムのようなイメージ」、ゲストの「人柄が出やすい」、読者にとって「親近感がわきやすい」、書き手の「考察が入りにい」「文章構成が難しい」などです。
③三人称形式
書き手がインタビューした内容をかいつまんで、文章にする形式で「だ・である」調が基本になります。
特徴は、書き手の「考察が入れやすい」「構成が作りやすい」、ゲストの「人柄が出にくい」、「固い文章になりがち」などです。
文字起しをする?しない?
インタビュー時に録音した音声を元に、文字起しをするのか、しないのかを決めます。
文字起しは手間がかかり、時間も使うため、できればやりたくありません。
そこで「する・しない」の基準を作っておきましょう。
例えば…
このような場合は「する」で、そうでない場合は「しない」などです。
また、文字起しする場合、音源から自動で文字にしてくれるサービスを試してみるのも良いでしょう。Googleドキュメントは、無料かつ標準機能にあるので便利です。
⇒ 音声で入力する – ドキュメント エディタ ヘルプ (Google公式サイト)
音声から文字起しをするなら、あまり「認識精度を求めない」ことがコツです。
あなたがそのサービスの特徴を掴んでいて、認識されやすいように話しても、ゲストはそんなことは知りませんし、みんながみんな論理的に話す方ばかりではありません。
つまり「話し方は、音声認識されにくいのがあたりまえ」ですから、認識精度を求めてもあまり意味はありません。文字起しは目的でななく作業です。
編集や出版などの業種で文字起しの数が多い方や、医療、金融・保険などの専門用語が多い業種のインタビューがある場合などは、認識精度が80%以上の有料サービスの検討をオススメします。以下のURLリンクは、代表的な4社のサービスです。気になる方は見てください。
⇒ Google Cloud Speech-to-Text(Google)
⇒ Watson Speech to Text(IBM)
⇒ Microsoft Speech Services(Microsoft)
⇒ Amazon Transcribe(Amazon)
記事作成の手順
それでは、記事を書いていきましょう。
どう書けば仕上がりが早くなるのかの作成手順を紹介していきます。
・結論を決め、仮タイトルを書く
記事の目的と、この記事で言いたいことを結論付けます。
結論に向かう文章構成になりますから、記事に1本スジが通ります。
決めた結論を「仮タイトル」として書いておきましょう。
よくあるのが、ゲストの目的だけを書いてしまうことです。
インタビュー記事のはじめ方。目的、ゲスト、場所をきめる【準備編】で伝えた「記事の目的を決める」からハズレると意味を成しません。
・内容を大まかに分類する
インタビューの内容をブロック単位で分類していきます。
例えば、ここは「ゲストの略歴を書く」ここは「ゲストの今やっている活動を2、3個書く」ここは「なぜそうなったのかを書く」というようにです。
文字起ししているなら、その要素部分をコピー&ペーストし、
文字起ししていないなら、録音した音源から該当する要素を聴き構成していきます。
・仮見出しを決める
次に、見出しを決めていきます。
内容から決めるのではなく、はじめに決めると、記事がブレません。
仮見出しにあわせて、テキストをコピー&ペーストして、順番を変えていきます。
取材をすると「後で話がついてくる」「話がスゴク飛ぶ」などの場合がほとんどですが、それではよくわからない文章になってしまいます。
そこで、見出しに合う内容に順番を変えることで、ストーリーを再構築しているわけです。
・仮タイトル/仮見出しを本タイトル/本見出しにする
ここまでで大枠の記事ができました。
できた記事をみて、仮タイトルと見出しが成り立っているかを確認し、文章全体に推敲と校正をかけていきます。
より読みやすい文章になっているか?誤字脱字はないか?を音読して確認します。
書き手は、ずっと記事について考えていますから、頭が勝手に構成を補完します。
そこで、補完できないように音読というコエの器官を使うことで、間違いに気づきやすく、とても簡単かつ有効な手段になるわけです。
ここまでで、初稿は完成しました。
お疲れ様でした!
「記事の書き方」ポイント
最後に、記事の書き方について気を付けるポイントを紹介します。
指示代名詞の使い方
取材時は、前後の文脈などで、アレ・コレ・ソレなど、指示代名詞で済むことも多いですが、そのまま書いてしまうと、読みづらい文章になります。
また、ブログなどWeb媒体の場合の特徴は「横書きが基本」「縦にスクロール」「スマホで読むことが多い」「スマホの画面サイズは小さい」などがあります。
前後の文章はスクロールしないと表示されないため、アレ・コレ・ソレ部分を実際に指している固有名詞を入れた方が、わかりやすくなります。読者が表示している画面に出ている文章だけで理解できるようにしましょう。
逆に一般的な書籍などの紙媒体の特徴は「縦書きが基本」「視認領域は中開ページ」「編集者がいる」などです。あなたが全てコントロールできない媒体ですから、ページ数、文字数をはじめ編集者まかせな部分も多く占め、そこまで気にする必要はないかもしれません。
読みやすい文章にするために
インタビュー記事を書いていくと、少しでも読みやすい文章にしたいと思います。
コツは、中学校の作文をイメージすることです。
中学校の作文と聞くと「なんだ、そんなもので良いの?」と思われるかもしれませんが、必要最低限の言葉や漢字で文章表現をするのは、実は難しいことです。
できていない人はたくさんいます。
「ちびまるこちゃん」の作者である、さくらももこさんのエッセイはとても参考になります。「現代の清少納言」とまで言われていたことがわかる気がします。気になる方は読んでみて下さい。
⇒ もものかんずめ
原稿完成後から公開までの流れ
初稿完成後~公開までの流れを説明しておきます。
①初稿のゲスト確認
ゲストに専門用語や時系列、住所などの情報が間違っていないかをメインに確認してもらいます。
相手しか確認のしようがない、連絡先や専門用語はあなたがいくら頑張っても正解にならないので、相手の承認を得ることが担保になります。
また、レアイウト時に使う写真は、返答をもらうときに回収しておくとやり取り回数が減らせます。
写真は、どういう写真が欲しいのかを伝えておき、ゲストが混乱することを避けます。
以下は、私が使用しているテンプレートです。よければ参考にしてください。
【掲載写真のお願い】
・直近のバストアップ ×1~2枚
・番組のスタジオ収録風景 ×1~2枚
・仕事中の様子 ×1~2枚
・番組の宣材写真 ×1枚(あれば)
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※画像形式は以下でなくとも、スマホ写真などでも結構です。
①画像枚数
・4~7枚
②画像サイズ(単位:ピクセル)
・横1280×縦720以上~横1920×縦1080まで
・16:9の比率
③解像度
・72程度
④カラー
・RGB
⑤データ形式
・jpg/png
②修正反映したレイアウト作成
修正を反映させ、レイアウトで写真や文字の装飾を行い、実際の媒体と同じ形にします。
ブログなら、公開する仮URLなどで、書籍なら、版下(印刷前の状態)です。
③最終のゲスト確認後、公開・印刷(検品)で完了
ゲストに最終確認をしてOKをもらい、公開・印刷にまわします。
書籍の場合は、本が納品されますから、印刷ミスや紙の折れなどを検品します。
初稿の段階で9割の完成度にしておくと、ゲスト確認は2回で済みます。
完成度が低いと、何度もやりとりすることになり、相手に迷惑がかかりますし、あなた自身も疲労します。インタビュー記事を作ることは目的ではありません。
まとめ
今回は、インタビュー記事の書き方について解説しました。
紹介した方法は、一般的で私も実際につかっています。
特別なことはしていませんが、インタビューした「ゲスト」から、ご好評を頂いています。
記事の最初の読者である「ゲスト」に喜んでもらえることを目指しましょう。
書き手の「あなた」のインタビュー記事に使える部分があれば、活用してみて下さい。
最後まで読んで頂きありがとうございました。