私は、エンタメの開発系でアルバイトから初めて、個人事業主、法人運営をしています。また、個人事業・法人問わずに結構な数の立ち上げと止める時を見てきました。
本サイト”BizHack”でご紹介した、2019年7月23日記事:エンタメ系プログラムが強い小さな会社の経営合宿2日間レポート。でも現在実施中です。
今回は、エンタメ系技術出身者の独立・起業した方の働きかたについて思うことを述べたいと思います。
専門職でありつつ起業家、投資家の考えを持つべき
技術職は、医者や弁護士さん同様、専門職(=スペシャリスト)にあたります。
専門職は、技術があり普通の生活には困りません。余裕もあるので、自分の好きなことに利益を向けることもできます。そんな、専門職ですが、代替10年目に同じ問題にあたります。
より持続可能にするために、専門職でありつつ起業家、投資家の考えを持つべきです。
なぜ専門職の考え方だけではダメなのか?2つの理由
専門職の方が、1人~数人規模で独立や起業すると、よくいわれる「起業して3年以内につぶれる方が多い」には当てはまりにくく、少なくとも10年以上は安定することが多いです。
これは、高単価で需要があるからです。1人で開発の下請けでも年間売上1,000万は比較的容易です。2、3人で始めれば、初年度の年間売上は3,000万も達成可能です。
では、「なぜ専門職の考え方だけではダメなのか?」の理由ですが、実は、2019年7月23日記事:エンタメ系プログラムが強い小さな会社の経営合宿2日間レポート。の”実務一択から脱却しなければならない2つの理由”と全く同じです。
同じ理由ですので、詳細は対象記事をご覧ください。 対象記事との違いは理由:1の経営者の部分が技術者に置き換わっただけです。
起業家や投資家の考えはこれとは、全く異なります。
回るためのシステムや、持続可能性を先に構築してしまいます。技術者とは真逆のアプローチです。
賛否両論があるようですが、日本でも10数年前にベストセラーになった著者ロバート・キヨサキ氏の「金持ち父さん貧乏父さん」にもこの違いが明記されています。
起業家や投資家になるわけではないので、参考程度に読んでみるのも良いです。
彼らの考え方があることを知ると、専門職のままでも一生問題ありません。
代表的なエンタメ系専門職2職種から見る具体例
私は、エンタメの開発系技術者としてデザイナー職を1995年にアルバイトからスタートし、1996年に個人事業主、2003~2016年まで法人。2016年~現在は、自社発信のメディア法人運営を立ち上げ中です。
この24年間に、関連する法人をジョイントベンチャーで設立したり、他の方の企業支援等を含めると、個人事業・法人問わずに結構な数の立ち上げ、止める時を見てきました。
代表的なエンタメ系専門職2職種での具体例を挙げます。
デザイナーの場合
私の場合をまとめてみました。
- アルバイト: 24歳
=200万円/年(時給650円) - 個人事業主:25~28歳
=300万円/年(1名:月換算25万円)
=1,400万円/年(2名:月換算120万円)
=1,800万円/年(1名:月換算150万円) - 法人:29~43歳 開発一括請け
=8,400万円/年(5名:月換算700万円)
=1,4億円/年(10名:月換算1,400万円)
=3.1億円/年(20名:月換算2,800万円)
個人事業主で1,800万の時は、デザインディレクターをやっていました。単純に、上位職だから単価が高くなった訳です。
この職種をしたのは、スキルを磨いていく最中、とんでもクリエイターにたくさん合い、上には上がいるもんだと痛感し、これはデザイナーだけでは生き残れないと感じたからです。今も業界の第一線で活躍中です。
私は、専門職(=スペシャリスト)でした。
プログラマの場合
知人場合をまとめてみました。
社員:22~29歳
=350万円/年(月給25万円+ボーナス2か月)
=530万円/年(月給38万円+ボーナス2か月)
社員(転職):30~31歳
=630万円/年(月給45万円+ボーナス2か月)
法人:31~45歳
=960万円/年(1名:月換算80万円)
=1,700万円/年(2名:月換算140万円)
彼は、専門職で技術追及をしています。
若手を1名採用し売上を伸ばしています。
大きな売り上げは望めませんが、とても健全です。
彼は、専門職(=スペシャリスト)でした。
私と彼の共通の問題点
私の場合
金額が大きくなった分、人数が増えています。
私が倒れても問題ないと見えるかも知れません。実際は私の名前で仕事があっただけです。
金額が大きい分、1週間で1,000万の調達など、より大変になりました。
彼の場合
着実なステップアップで技術者として、確かな技術を積み重ねていきます。独立後も大きな成長率はありませんが、健全です。いろいろな会社と仕事するので、チームメンバーも多様で面白みもあります。仕事の谷間で1、2ヵ月空いたとしても、1人会社で、コストがかからない為、貯蓄のみでクリアできます。いつしか結婚し、子供もできました。気が付けば40代後半です。
私と彼の共通の問題点
専門職の拡大でしかなく、同じことの繰り返しでモチベーションの低下に陥っていました。自分のスキルが上がれば大概の事は解決できてしまい、何をやっても新鮮味がありません。技術力はあるので、見た目の市場価値は落ちませんが、自分が思う市場価値は、もはやありませんでした。
では、どうすればよいのか?
元々、営業やマネジメントに向いていないから専門職でやっているのは、分かっています。専門スキルを磨いているので、そちらに割く時間はない事でしょう。
明瞭な考えのあなたは、先に述べた具体例も理解されています。
自分で気付けば良いのですが、中々止められません。
私のお客さんで若手エンジニアの1人会社の社長がいます。彼は30代前半です。いやな言葉ですが、ゆとり世代です。世界的にはミレニアム世代にあたります。
彼らの大多数の特性は、あまりいい傾向はありません。どうしても受けた教育と、大きな産業の転換期であるネット社会への切り替わりタイミングなどによるものです。その中では、稀有ですが、働き方について、初めから持続可能性を考慮しており、資産形成を考えています。
法人化して3年目になり、業績は順調です。
けれど、彼は判断をして、持続可能な事業を模索する為、規模の追求を止めました。法人を縮小させ、個人事業主としてある程度のお金を稼ぎながら、数年かけて持続可能な事業を模索することにしたのです。丁度、1,000万円以上の契約書ドラフトが送られてきたばかりでしたが、それを断ってでもです。
いいでしょうか?
1人で、なんでもかんでもできません。時間は限られています。どうやって自分の仕事を入れ替えていくかになります。まずはここから考えてみましょう。
まとめ
専門職でありつつ起業家、投資家の考えを持つべきです。
私は、35歳の時にこの問題に気付きました。既存事業があったため、整理するのに5年かかりました。完全に抜け出せたのは、そこから更に3年後です。
彼は、40歳の時にこの問題に気づきました。既存事業は整理する必要なない為、別事業を始めました。赤字にはなりませんが、やり方がわかりませんでした。
今、私と彼は、一緒に仕事をしています。
あなたも、専門職でありつつ起業家、投資家の考えを持つことで、持続可能性を高めましょう。
お分かりかも知れませんが、この40代後半の彼はこの記事の社長です。
最後まで読んで頂きありがとうございました。