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エンタメ系プログラムが強い小さな会社の経営合宿2日間レポート。

少人数経営のデザイン
少人数経営のデザイン
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2019年7月18、19日の2日間にP社(東京都、社長40代後半)の経営合宿を行いました。12時間で3年の中期計画と、次年度計画のたたき台をまとめました。

今回は、忙しい技術系の社長の経営計画の一例として合宿内容をご紹介します。

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経営計画を作り、実務一択から脱却を図るべき

経営計画を作り、実務一択から脱却しましょう。実務兼任は、プレイングマネージャーです。ある程度人数のいる会社だと部課が存在するので、必要です。部長や課長などの役職です。

1人会社や小規模組織の場合は、不要な役職です。少人数が故に、兼務しなければならない事は当たり前です。否定している訳ではありません。

考えてみてください。部課目標を達成する為の事業や経営計画は誰が立案していたのでしょうか?

そうです。社長や役員です。

小さな会社では、経営者であるあなたが作ります。作って実行し改善していくことで、実務一択から脱却しましょう!

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実務一択から脱却しなければならない2つの理由

実力のあるあなたは、高スキルで需要もある為、稼いでいます。売上比率で、80%以上になっているかもしれません。

これはキケンです。何がキケンか見てみましょう。

理由:1

経営者が倒れると、お金が入ってこない

あなたが不幸にも病気や不慮の事故で動けなくなれば、とたんに収入が止まります。いつ回復するのか未来は誰にもわかりません。

長年の業歴から、最低生活費は把握しているでしょうし、幾分かの貯えもあるでしょう。これは限りあるもので資産とは呼べません。

理由:2

モチベーションが低下し、市場価値がなくなる

先の例は動けなくなるなど極端ですが、モチベーションの低下にも気を付けなければなりません。

高スキルが故に、なんでもできてしまうあなたは、間隔が鈍っていきやすい体質になっていきます。また、所謂いわゆるスペシャリストのあなたは、追及を止めたとたんに市場価値がなくなっていきます。止まる事は許されません。

60歳になっても80歳になってもです。

病気、モチベーション低下の苦悩する男性イメージ画像
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2日間のP社経営合宿でやったこと

それでは、今回実施した”エンタメ系プログラムが強い小さな会社の経営合宿2日間”を例に見てみましょう。

P社の会社概要

P社スタジオ控室画像

P社は、売上高が数千万の役員2名(社長と奥さん)と従業員1人の3名体制で、プログラマである社長の技術(業歴は20年以上)がウリです。開発会社から請け負う①受託開発事業が売上の80%以上を占めています。会社は14期目で安定しています。

社長は、技術があるので高単価で稼げています。今後の事を考えると、いつまで前線で開発していくのか不安があります。小学生のお子さんもおり、将来を考えなければなりません。

解決すべく、数年前から社長のスキルが生き、興味のある事から、以下の事業を始めています。

②講師事業
プログラムの専門学校の非常勤講師を週1で2校
③コワーキング事業
モノづくりの拠点になるべく、24時間365日の無人スタジオ兼コワーキング運営

②の事業が粗利100%なので、③の事業に掛かる固定費分を補っており、②と③は、収益トントンの状態です。

売上高数千万
従業員構成役員2名/従業員1名
事業年度14期
事業構成(売上比率)①受託開発事業(80%)
②講師事業(15%)
③コワーキング事業(5%)
P社使用機材画像

前期も大体同じ構成比率です。前期では、今の段階でもっとも強力に稼げる①受託開発事業を従業員を1名入れることで、売上額を最大化しています。1ヵ月後には、月売上が過去最高額になっています。これは、1年の中で次の準備をするために一番の稼ぎ頭の①事業を止めても、社長の時間を捻出したかったからです。

P社の社長と私の関係は、20年ほど前に同じチームでゲーム開発をしていた旧友でもあります。ひょんなことから、2年前よりこの会社のプロデューサーとして係わっています。

開発職の特性は何?

プログラマのイメージ画像

ここで開発職の特性は何か見ていきましょう。

開発は、労働集約型産業になります。

存在している産業の中でも人間による労働力による業務の割合が大きい産業のことを労働集約型産業と言う。

労働集約型産業 – Wikipediaより

IT業界などでは当たり前とされる人月単価いくらという、他業種では謎の価格帯でやりとりされます。小売業などからは、「なんで人件費を払わないとダメなのか?」と思われる方がほとんどです。下請けで東京で80万人月、関西で60万人月くらいが相場です。高い理由は、ここに利益が乗っているからです。

100万人月以上も可能なため、実力のある方は税金対策で一人会社をつくるなどすれば、キャシュアウトしないので極端な話、機材購入などの設備投資を除き、粗利100%もあり得ます。機材投資といってもネットの高速回線やPCなど大きな投資にはなりません。

また、プログラム需要は常にある為、十分食べていけます。デザイナーと違いプログラマの母数が少なく、年齢を重ねても基幹技術はかわらないので、単価を下げずに長く従事できる特性を持ちます。

技術職は、仕事を通じて、技術を一つ一つ積み重ねながら、自己スキルを磨いていくため、大器晩成型が多いです。居酒屋さんの店長のように1年で次のステップには、中々なりません。10年単位で研鑽していきます。

一般的に将来への悩みは、経験を積み実力がついてきて、少し余裕のでてくる、30代後半~40代に現れてきます。技術職も例にもれません。

むしろ、技術がしっかりあり、需要も十分にある為一般職種の方よりもアクションが遅くなる傾向にあります。

P社の状況も開発職の特性に当てはまる部分が多いと社長も感じています。(たぶん)

12時間(2日間)で出した方針

社長に時間を空けていただき、12時間(2日間)で方針を決定しました。スケジュュールをご覧ください。

経営合宿12時間(2日間)のスケジュール
  • 1日目
    13:30
    開始:スタジオ(合宿場所)にて
    1. 先月・今月の実績値と予定値を会計データを基に合わせる(P社は、来月が決算の為、決算予定値を合わせる)
    2. 今期コストの数値を各主要科目毎に社長に記載してもらう
      同時に私は今期含めた3期分の比較損益計算書を作成
    3. どこに注力したいか社長の意向を書き出し、③事業と決定
    4. 注力する③事業はスタジオの大きさがある為、回転率を算出し年間の目標売上高を算出する
    5. 結果、来期の売上比率を、比率を5%から25%まで上げる
    6. コストは、既に今期に整備できたため、大きな支出はなく、当期+100万程で良い事を確認
    7. 結果、営業利益率が27%に改善される
    8. 実行にあたり人員配置が必要となる
      要員は、私が張り付きでやる事が良いとなる
      実行あたり、本業務実行するにあたり、東京での別業務などが調整できるかが課題
  • 17:30
    終了(4時間)

  • 18:30
    開始:会食
    • 場所をかえ、食事しながら、先に決めた計画を具体的にブレインストーミングする
    • 従業員の方も合流し、③事業について会話
  • 22:30
    終了:1日目解散(4時間)

  • 2日目
    10:30
    開始:スタジオ(合宿場所)にて

    1日目の数値計画とブレインストーミング内容を定性と定量化する

    次アクションを決定
    → 3か月:事業用要員のコスト捻出方法を実行する
    →上記が可能な場合、第2四半期からの売上になる
    →P社の③事業に係わる関係者リストを作成する

  • 14:30
    終了:2日目解散(4時間)

全体を、QCD(=Quality(品質)、Cost(費用)、Delivery(納期)の頭文字を繋いだもの。)をどうするか決めます。

直近アクションは、計画実行にあたっての要員配置です。ここが決まらないと推進できないので、まずは、”動こう”となりました。

使ったツールは、まとめるために、Google スプレッドシートとGoogle ドキュメントの2つ。会計データをP社の税理士顧問の会計ソフトとマネーフォワード クラウド会計の2つです。会計ソフトを統合していないのは、会計が複雑ではないため、今のままでも必要十分だからです。わざわざ統合するコストをかける必要はありません。

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計画立案の相談は、どうすればよいか?

ネットや本で経営・事業計画の立て方があります。最終的には、数値計画に落とし込みする為に必要ですが、初めて作る場合はどうやれば良いのかわからない方が多いです。また、「腕に自信があり、技術に集中したい。」と技術出身の方には多いです。

自分のスキルにないなら、外部に頼っても良いです。かといってコンサル会社に中々相談できないと思います。何を相談すればよいかわからないからです。

計画立案の相談イメージ画像

私も、事業を立てる時に、必要なスキルを出していきますが、ほとんどが自分にないスキルです。こういう時は、とにかくいろんな方にあって、困っている事を言いまくります。少しずつ情報が集まってくるので、それを元に再度まとめ直します。ここからまた次の問題が出てくるので、また外で言いまくります。2回ほどで目的の情報を持つ方にお会いできます。出来ない場合は、実行できないので別のプロジェクトを進めます。

ここでの考えは、「病院では、専門でもないのにお医者さんに気軽に相談していると同じ。」と通常の生活の中で普通を思えることに照らし合わせるようにしています。そうすると、大したことではないと思え、動こうとなります。

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まとめ

如何でしたか?

経営計画は社長が作るもので、その必要性について明記しました。

今回は、忙しい技術系の社長の経営計画を合宿を取り上げ、一例としてご紹介しました。実際の数値や具体的な施策などがあれば、より分かりやすいですが、守秘義務より明記できませんことはご了承ください。

会計の実績値を元に、数年先までの勘定科目ごとに予定数値を書き込み、売上、仕入、経費、利益がどうなっているかを見ます。それぞれの数値のもつ意味を、実現可能でように書面化しましょう。

まだはじめていない場合で実績値が無い場合も、第三者からみて、理解できるようにつくればOKです。自分の商売の中身についてではありません。辻褄があっており、それであれば大丈夫だな。と思えることが大事です。金融機関の融資担当者も同じ判断をします。

早速、経営計画を作り、是非とも実務一択から脱却を図ってください。素晴らしい技術を長く生かして幸せを掴みましょう!

最後まで読んで頂きありがとうございました。

編集後記

小さな会社ではなぜか、目の前の作業に追われてしまい、方針や指標がない場合が多いです。私たちは、なぜ社会人1年目の若手のような考えに戻ってしまうのでしょうか?人間とは、一生懸命やればやるほど、目の前の雑務に忙殺されるものなのでしょう。一生勉強が必要な理由だと思います。最後に、今回の記事にすることについてP社の社長さん、ありがとうございました。感謝!

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